店番しながら ずっと前に

  • 2020.07.02 Thursday
  • 17:46

 断捨離とまではいかないけれど、時々気合を入れて部屋を片付けることがある。きっかけはほとんどの場合、大事なものが無くなったとか、ここに置いたつもりの物が無いという時がほとんど。

 棚や引き出しの整理を念入りにしてもみつからないことも多い。そんな時は、羽が生えたり足が出て、どこかに逃げていったにちがいないとあきらめることにしている。

 ただ、たまに思いもかけない宝物がみつかる時がある。バブルペーパーにしっかりくるまれ、何年も眠っていたもの。誰にもみつからないようにこんなところにしまっているのは、何か大きな理由があったに違いない。とは言え、すっかり忘れてる。

 梱包を少しづつほどきながら、自分の記憶もほぐれてくる。

 海外でみつけた掘り出し物。一般的ではないけどどうしても欲しかったもの、きっと、後で価値が出るかと。

 そして、今では何かよくわからないもの。などなど。

 特に海外で仕入れた物の中で、これは今売らないでおこう、後でよーく調べて売ろうと思って、大事にしまって、すっかり忘れてしまうというパターンが多い。調べる時はすぐ調べないとこういうことになる。

 今は売らないという理由はいろいろあるけれど、その中でも下記は、「買ったはいいけど、売っていいものなのかな」としまっていたもの。

 Tiger Lily Tureen       Miniature set

    Susie Cooper Tiger Lily Tureen                            Miniature Set

 

 どこでいくらで買ったかは、ちゃんと記録しているのだけれど、売ってくれた人の言葉が、当時かなりひっかかった。

 「これは、誰かが人気のSusie Cooper のミニチュアセットとして製造販売したけど、正規の製品ではない。

  Susie Cooper のバックスタンプがあるけど、版元から文句が出て、そのあとの製造が続かなかった。

  だから、このTiger Lily のセットしかないんだ」

 

 私は、小さい物やドールハウスが昔から大好きなので、Susie Cooperのミニチュアセットを見つけた時はとてもうれしかった。

 他の絵柄はないのかと尋ねた時、先の説明を店の人から聞いた。

 たまたま、少し傷があったTiger Lily のチュリーンを持っていたので、その中にミニチュアたちを入れて蓋をした。

 間違って売らないよう奥に奥にしまった。数年後、暗い棚からチュリーンが出てきた時、ミニチュアセットとも再会できた。

 いろいろいきさつはあっても、ちいさくてやっぱりかわいい。時々、Susieコレクターの方に見てもらったりしている。

  

店番しながら Ardingly

  • 2020.04.10 Friday
  • 22:40

イギリスの南部にあるアーディングリィで、大きなアンティークマーケットが毎年開かれるので、朝から電車で向かいました。

最寄りの駅で案内板を眺めていると、

「もし、アンティークマーケットに行くのなら、一緒にタクシーで行かない?」と誘われました。

落ち着いた感じのふわふわした長い髪の女性で、タクシーの中で簡単な自己紹介。毎回、ここに来て、古いきれいな布を探しているとのこと。

マーケットに着くと、あなたは屋根付きの所で買い物ね。私はいつものように野外で探すわ。ランチ、一緒にどう?

そんな感じで、いつもの仕入れでは、めったにない”お友達と一緒に楽しむ”ことができました。

彼女は、古い布が最近とても高くなったと言いながら、広大な会場のお気に入りの店を何軒も案内してくれました。

夕方、ロンドン近くで別れる時に、よかったら、滞在中にうちに遊びに来てと誘われました。えーいいの?という私に住所のメモ書きを渡してくれました。

2日後、約束の日になって、読みにくい住所を頼りに、郊外の駅SOUTH EALINGに着きました。

急に用心深くなった私は、彼女の家の周りを遠目から観察して、ま、普通のおうちだから危ないこともないだろうと訪問しました。

彼女は、ここで待っていてねと、イギリスらしいかわいいリビングに迎えてくれました。

しばらくすると、どやどやと何人もの人が入って来ました。何人もが次々と大声でしゃべりながら、、、これは、何か商品勧誘とかに騙されたかと、無防備な自分を後悔しました。

どういう理由をつけて帰ろうかとあれこれ英語訳を考えていると、いつのまにか家の中がうそのように静かになっていました。

彼女が言うには、この家を売って、近くのマンションに越す予定で、今日がこの家のオープンハウスで買いたい人達が家の中を見に来たんだそうです。あなたの訪問時間と重なってごめんなさいと。

思ったより多くの人が見に来たとたいへん喜んでいました。

リンゴの木がある裏庭が付いたかわいいとても古いこの家は、かなり高く売れるそうです。

帰るなんて言わなくてよかった。

彼女は、アンティークの布でパッチワーク作品を作るアーティスト、そして、別に英語も教えているそう。独身の自立した女性でした。手縫いで丹念につくられたパッチワークの作品はビロードで縁取られた、とてもセンスが良く素晴らしいものでした。日本にも売っているのよと言っていました。私の英語をじっくり気長に聞いてくれたのは英語教師の片りんかと。

そして、リンゴの木の下でお茶を頂き、小さな洋服ダンスの中まで見せてくれました。私の洋服はこれだけなの。

新居のマンションの場所まで案内してくれ、もう庭の手入れが負担なの、今度はここに遊びに来れるように案内したのよ。

日本に帰ってから、数年は手紙やカードをやり取りしていたけど、いつのまにか、音信不通になってしまいました。

元気にしてるかな。

出身は確かラトビアだと言っていたFunny。

 

店番しながら ギリシャの旅

  • 2020.03.06 Friday
  • 16:50

2016年、テレビで、「世界遺産で神話を舞う」という番組を観ました。
アテネ・エピダウロスフェスティバルの60周年ということで、
世界最古の劇場「エピダウロス古代円形劇場」(B.C.4c)に能舞台を作り、人間国宝の能楽師、梅若玄洋が能を舞いました。
演目は、叙事詩「オデュッセイア」より「ネキア」をアレンジした新作「冥府行」。

演出家のギリシャ人と演者の日本人とのやりとりも興味深いものでした。
文化や表現の違いを、議論を繰り返し、距離を埋めていきます。
やっとたどりついた本番、能独特の謡、囃子が、蝋燭が灯る石の劇場で始まりました。

ほとんどギリシャ人だったという観客の反応はどんなだったでしょう。
それまでも、ギリシャには関心がありましたが、固有の場所に興味をもったのはこの時でした。
放映後、東京千駄ヶ谷の国立能楽堂でも再演され鑑賞しましたが、私は、”エピダウロス”への道も探し始めました。


いろいろな縁でギリシャへの旅が思ったより早く実現し、翌年、私は、ギリシャを巡る旅に参加しました。

そして、ペロポネソス半島東部にあるエピダウロスを訪ねることができました。
エピダウロスは、アポロンの息子、医術の神アスクレピオスの聖地とされ、医療施設の遺跡や競技場が点在する大きな遺跡です。

テレビでは見えなかった古代都市の生活や役割を、自分の足で辿ることで実感できたと思います。


平らな道を歩いてたどり着いた古代円形劇場は、想像より大きく完全な形をほぼ残したエピダウロスの主役として存在し、古代都市の規模や繁栄が想像できます。
劇場の中央で手をたたき、素晴らしい音響効果に驚きながら、上を見上げると雲一つない青い空、そして遠方の山に続く木々の緑だけが劇場を囲んでいました。

日本の能にも長い歴史がありますが、観阿弥、世阿弥親子により今のような様式に完成されたのは14世紀です。
陽があたっていたのか、少しも冷たくない石の椅子に腰かけてみました。
ここで繰り広げられた能の舞台を想像してみました。

笛や鼓、太鼓が奏でるお囃子は、確実に最上段まで届いて、ギリシャの人達に驚きや感動を伝えたはずです。

紀元前4世紀に積み上げられた古代円形劇場には、懐深く文化も旅人も受け入れてくれるおおらかさがありました。

 

このようなことがきっかけになり、ここ数年、ギリシャの遺跡を訪ねています。
印象深い場所を、適宜ご紹介していこうと思っています。
 

  

 

店番しながら Susie Cooper

  • 2020.02.20 Thursday
  • 14:30

 加志屋の店内には、Susie Cooperの食器が多く並びます。初めて、Susie Cooperの名前を知ったのは、20年以上前、ロンドンのアンティークショップのショーケースに、犬の絵のついたマグカップをみつけた時です。日常使いのマグカップの値段がとても高くて驚いたのと、シンプルな線で描いた生き生きとした犬の絵が印象に残りました。子供用の食器だったか、アメリカなどへの輸出用だったか、数少ない品だと説明されたのを覚えています。

 日本では、かわいい花柄のシリーズが人気ということで、しばらく高値が続きました。手が届かない時期は、イギリスの本屋で書物を探し、彼女の陶器デザイナーとしての人生と多くの作品を知りました。

 彼女の生まれ故郷のストーク・オン・トレントを訪ねた時、少しさびれた町を歩き、路線バスに乗りました。

 バスの中からふと見た停留所に endon と書かれていました。Susie Cooper は、この地名から、商品の名前を付けたんだと実感し、ここまで来てよかったとうれしくなりました。


 Susie Cooper  "Endon"  coffee cup&saucer trio  and  Backstamp

   ( 1938年 )

 

 

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